わしは、君だけの王子様じゃけえ。


マイ・プリンセス


「そんな恥ずかしいこと言わないでよ、馬鹿」
まあ何と君は現実的なことだ。
わしの言ったことをさらりと流してしもうた。
「そがぁ言わんでも・・・」
「あのさあ、昭仁。絶対そういうこと人前で言わないでね?死ぬほど恥ずかしいから」
「な」
全く、薄情なヤツじゃ。
わしはいつだって真剣なんよ?
「大体さぁ、昭仁は羞恥心って言葉知らないの?人前で平気であたしに抱きついたりさぁ」
「人前って、スタッフさんや晴一の前じゃろ?他人じゃないし」
「そういう問題じゃない」
「みんな楽しそうじゃ、ていうかむしろ嬉しそうじゃ」
「それは昭仁の感覚がおかしい」
は大きくため息をついた。
「何でじゃ!いちゃつくのいけんの?」
「いや、そうじゃなくて」
「人前も二人きりも変わらんろーに!」
「何でそーいう感覚なの!?」
「じゃって、が好きなんじゃもん!!」
わしもに負けんくらい顔が真っ赤やった。
というか、一方的に必死だったというか。

「・・・昭仁」
は俯いた。
あら、わし怒らせてしまったかのう・・・?
・・・?」
わしが顔を覗き込むと、は即座に顔を背けた。
「な、すまん・・・
「・・・」
「の、怒らんでも・・・
「・・・馬鹿昭仁」
「え、あ」
「三十路変態」
「う」
「いつまでも若ぶってないで」

少しは落ち着いたら?

がはにかみながらそう言った。
「いつまでもそう言ってくれるのは嬉しいんだけどね」
わしはの笑顔にほっと安堵した。

「じゃけどのう、こんなわしに惚れたのがじゃろ?」







いとしい人/CHEMISTRY